第4の章 「ツクナレ」


アマゾンで「釣りをする」といえば。「ツクナレか?」と言葉がかえってくるほどアマゾンの釣り師の間でツクナレは有名である。

世界中のきちがいスポーツフィシャーマンの中でも、そのファイトの素晴らしさから、すでに確固としたファイター世界ランキングの地位を築いているツクナレことピーコック・バスは、日本ではまだあまり有名でないみたいである。ツクナレは、学術的にはシクリット科というカテゴリーに属す、シクラ属の(Cichla属)魚である。学術会でもいまだに、しっかり種別されておらず、混乱を呼んでいる。現在これがこの種であると明確にされているものは2〜4種にすぎない。しかし、私が見てきたかぎりでは、確実に種であろうと思われるものが9種はいる。いずれも原産地はアマゾン水系である。最近では放流されたツクナレが、ラ・プラタ、サンフランシスコ水系でも釣れるが、釣り師ならば原産地のアマゾン水系で釣って欲しい。で、アマゾン水系で釣るとして、はたと悩んでしまうのである。

ツクナレは全てのアマゾン流域にいる。しかし、最初に書いたように様ようなタイプがあるのだ。さてどのタイプを釣りに行くかが問題である。

アマゾン河を下流から上がってみようか?始めにあたる大支流トカンチンス河にはスポットタイプが多い。その川の上流にツクルイダムというのがあり、そこにはスポットタイプの他に、ツクナレアスー(巨大)とツクナレアマレーロ(黄)の中間タイプがいる。

その河をさらに上がるとアラグアイア河との合流点にあたる。アラグアイア河にはツクナレアズー(青)とツクナレアマレーロ(黄)がいる。

アマゾン本流には黄の元であるツクナレコムン(普通)がいる。タパジョス河の源流にはツクナレベルメーリャ(赤)がおり、ネグロ河には、ツクナレタワー(あめ色のスポットタイプ)、アスー(巨大)、オリノコ(3スポットタイプ)、パッカ(スポットタイプ最大種)がいる、ブランコ河のアスーも巨大になると聞くし、マデイラ河のアスーも有名である。

どの種もそれぞれに特徴があり、ぜひとも釣ってもらいたいのであるが、時間がかぎられている人の為に、2系統に大別してしまおう。

1系統は、体高の出るタイプ。もう一つは細長いタイプである。体高の出るタイプは、ものすごく力が強い。オスは大きくなると必ずコブがでる。アマゾン本流のコムンタイプは、さほど大きくならない(50cm MAX)が、沢山おり、場所さえあえば良く釣れる。バンバン ジャンプしてくる。

アスータイプこれはメートルクラスにまで成長してしまうバケモノでツクナレの最大種である。ツクナレを釣るのならぜひこいつを狙って欲しい。これを釣ってしまうともうアマゾンから離れられなくなってしまう。ルアーへのアタックの仕方、引き、ジャンプどれもすばらしい。

細身タイプは早い引き込みが魅力である。アズー、スポット、タイプは50〜60cmぐらいがMAXサイズ、3スポットタイプは1m近くにまで成長する。

そして、パッカはこれまた1mを越えてしまう。ひょとすると最大種のアスーより大きくなるかもしれない。重さはアスーにおよばないが。

これらのタイプはあまりジャンプしない。底へ底へと引いていくのが彼らのやり方である。ただ最初の走りには気を付けたい。ラインが水の上を音を立てながら走るこの快感に酔っていると、あっけなくラインブレイクと言うこともよくあることだから。

場所

では、大体の魚のことが解った所で、釣りに行きましょう。狙いは、当然巨大ツクナレの聖地ネグロ河である。

ネグロ河はアマゾン河の中流域にある巨大な都市マナウスからアクセスするのがよろしい。多くのツクナレ専用の釣り舟(ベット付)で行くも良し、小型飛行機で一気に、聖地に殴りこみも出来る。またマナウスからウワトマン、マデリーニャ河の大物を狙いに行くオプションもきく。

ネグロ河

名前が指すように黒い河である。この河はPHが4.5〜5の強酸性の河である。水の色はコカコーラのごとく黒く、不気味である。水が酸性の為、魚影が薄く、お目当ての魚に遭うこと事態が難しい。ただ、水が酸性の為、アマゾン特有の 蚊の大群やその他のあまり嬉しくない吸血昆虫類が少ないので日光浴には最適である。ようするに、魚が釣れないと言う事である。メートルクラスのツクナレを仕留めるには、余程の幸運がなければならない。それでも釣り師は大物をもとめて、この河に訪れるのだから、本当に間抜けである。

一口にネグロ河と言うが、この河は、日本最長を誇る信濃川(369km)の全長の5倍近くの長さがあるのをお忘れなく。

ネグロ河にもやはり無数の支流があり、その支流の水路、減水期に取り残された多くの残留湖には未だに地元漁師さえもあまり行かない聖域が取り残されており、そんなある湖ではアベレージが10Kgと言われている夢のような湖もある。だから私もネグロに行くのだが....

で、現実の話として、一般にちょっとネグロ河に入った程度では苦しいプレッシャーとの戦いは覚悟しなければならない。

魚の宝庫アマゾンにまでいってそんな釣れない釣りはしたくない。と言う人にはサイズは小さいがかなり釣れるポイントもあります。ご心配なく。

大物の釣り方

大物はどんな肉食魚でもそうなのだが警戒心が強い。ツクナレも例外にもれず、大きくなればなるほど警戒心が強い。よほど腹がへっているか、突然落ちてきたルアーに反射的に飛びつく意外、大抵の場合は、釣り人を見切ってしまう。特に釣り人がしょっちゅう入るポイントは、かなりスレている。では、あなたはどのようにして大物をものにするか?

人が知らない所でツクナレを釣る。正論である。その通りである。しかし、人が入らない聖地などそう易々あるわけではない。ではどうするか?

大物は水路よりむしろ本流を好む。水路の吐き出し口や、カーブの岬の突端などに潜んでいる。しかし早朝や夕方餌を漁りにかなり大きな水路に入り込んでくる。ここであなたは慌ててルアーをむやみに投げてはいけない。

じっと我慢しなければならないのである。まあタバコでもすって、ゆっくりし、弁当があればそれを食べてもいいな。必ずボイルがある。それも大きい。やつは水鳥などが水面に浮かんでいるのを見つけると、それは恐ろしいほどのアタックをかける。5m〜8mと水鳥を追いまわし、水面に激しくアタックしている。それを見るだけで、心臓が飛び出しそうになるほど興奮する。チャンスである。やつは獲物のことで頭が一杯で、狂っている。警戒心もへったくれもなくなっている。やつの軌道にルアーが乗れば・・・・・

その後は夢のような時間があなたを満たすであろう。あとはあなたが今までやってきた技術を総動員して戦って欲しい。

大物は、恐ろしい引き込みでラインを信じられないようなスピードで奪い取っていくかと思えば、逆転してボートの下に潜り込む、左に走ったと思った瞬間右に走ってジャンプしている。倒木、流木に巻き込むのも彼らの常套手段である。それらを1つ1つ冷静にさばけるか、ボートのパイロットが名手かどうかというのも取れるか取れないかのカギを握る。

大物を掛けたら、パイロットの方を振り向いてみるといい。最も振り向くだけの余裕があればだが、もしパイロットがツクナレを取る為の何かの行動にかかっているなら安心してファイトに熱中すれば良い。高い確率であなたはやつを物にすることが出来るだろう。もしそうでなければ、絶望で頭を真っ白にしながら、何かの幸運に掛けるしかないであろう。

ツクナレそのポイントとタックル

ポイント

  1. 水路、残留湖
  2. ウイード際
  3. 倒木などのストラクチャー
  4. 立ち木周り(大木ほどいい)
  5. 岩場
  6. ワンドの奥
ポイントはズバリ「シャーローを狙え」である。岸じぎわぎりぎりが良い。

ツクナレは個々にテリトリーを持っている。それが障害物であることがほとんどである。小型〜中型は流れの少ない場所に着く。大型は少々流れのある所がいい。

ルアー

まあ何でも釣れるが、トップウオータープラグが面白い。

  1. ミノータイプ  11cm以上がいい。
  2. トップ は、ポッパー、スイシャーなど音が派手ほどいい。やはり、大物を狙うなら、大きい方がアピールしやすい。
  3. スプーン、スピナーベイト、バイブレーション有効ですね。
注意

80cm以上を狙うなら、フックは3XLのワイドゲイブがお勧めである。

ツクナレのくちびるは、硬く分厚いので、並みのフックでは掛からない、もしくは簡単に伸ばされてしまう。

リトリーブ

ファーストリトリーブに限る。ポイントが広いのでやる気のないやつは狙わない。ジャーク、ストップ アンド ゴー は有効。

タックル

大物の場合20〜30lbのハードミドルからヘビーが良い。一般的にはほとんどの場合ミドルでも十分対応できる。こしのあるロッドが良いように思うが、それはお好みで。ラインは倒木の多い場所を想定して、ナイロン、PEの2種揃えたほうが無難である。

シーズン

アマゾン流域では9月〜11月がベストシーズン

つづく

ヤマモト・チヒロ先生にお手紙を出そう!

yamakamo@interlins.com.br だよ!