第3の章 「アマゾン釣り心構え」


さて、アマゾンの有名魚を知った所でそろそろ釣りの話に参りましょうか。

釣り師にとってアマゾンと言うフレーズは大変魅力的に聞こえるのは、私だけであろうか?最後の秘境、魅惑の大地、緑の魔境、などと言われ、そこには、今現在もエルドラード(黄金郷)が眠りつつけており、アマゾン河には、世界の淡水魚の8 0%が生息すると聞いて、だまって黙認していられるだろうか?おそらく釣り師だけでなく、多くの大人の顔をした子供たちは、じっとしていられないはずである。

釣り師にとってアマゾンで釣りをしたという行為は、何かと自慢、評論、したがる釣り人の例の「釣り人の話」のネタとしては強力な武器であり、おそらく事あるごとに、このネタが彼の口から発せられ、彼の偉大な業績として、一生かたり続けられること間違いなしである。それも自慢たらたらと語るのではなく、さりげなく、本当にさりげなく語るのが釣り師の定石である。聞き手が、それによって羨望と、悔しさを感じれば感じるほど、効果がある。

しょっちゅう釣れない大半の釣り師達の秘蔵のネタである数少ない武勇伝のレパートリーに、このアマゾンネタほど相手にダメージを与えられるネタはそうないはずである。相手が未知の世界で勝負出来るのが強みである。多くの釣り師がアマゾンで釣りをしたことがないのだから。

釣り師とは意地悪が好きな子供のようなものである。こんなことぐらいで、優越感に浸るのであるから。が、こんな事だからこそ大切であるのだ。と私は思う。

で、釣り師なら一生に1度はアマゾン河に釣り糸をたらして見たい。と思われた方、ぜひ来ていただきたいものである。TVの影響であろうか?多くの人がアマゾンにつりに行くとなれば、クジラでも釣りに行くのですか?という大掛かりで、強靭な道具仕立てで意気揚揚とやってこられる。私も実はその類いの仲間だったのだが、あまり感心できないのである。

どうもアマゾンには巨大魚のみが生息していて、その各巨大魚がおのおのに伝説を持っており、恐ろしいほどの怪力のオンパレードであると思われているふしがある。

実は、アマゾンにはメダカもおり、鮒に似ている魚、ハヤに似た魚もいるのである。確かに1m 100Kgを越す大ナマズもいるが、クジラ釣りではないのであるから、それ相応の物を用意されればいいのである。つまり、狙いたい魚をまず最初に決めて、そのあとそれにあった道具を揃える。と言うのがアマゾンで釣りをする基本である。(どこでもいっしょか?)

そんなことは解っておる。しかし、どんな魚がいるか解らんのに、どうやって道具を決めるのか?と言う所でつまずくのである。

よって次回から、具体的な魚種、どの時期に、どんな所で、現地ではどのような道具で、また仕掛けは?などアマゾンの釣りを一つずつ解明していくつもりである。アマゾンでめだかを釣るのも良し、大物を狙うのも、あなた次第である。

次に克服しなければならないのは、アマゾンの広さとそのシーズンである。狙う魚種を決めたとして、その魚の生息する現場、はてはポイントまでが以上に遠いのである。

ある魚種については、アマゾン流域の大都市マナウスより、現場まで2000Km船で5日かかってポイントへと言うことも起こり得る。また次の魚を求めて、そこから4000Km。冗談ではないと思ってしまうが、冗談ではないのである。アマゾン流域だけで日本の19倍ある事を、頭に入れておかなければならない。次にシーズンである。アマゾンはいわずと知れた、熱帯雨林気候である。年間のうち雨季が6ヶ月間続く。釣りに最適なシーズンは4ヶ月のみである。それも、フィールドが大きすぎる為、場所により最適シーズンが異なるのである。この問題を克服しなければいけない。

次に問題なのがどこでも釣れない。ということである。アマゾン河は大きすぎるが、川は川である。やはり日本の川同様ポイントがある。釣れない所で釣っても釣れないのである。これがアマゾンの落とし穴である。私もこの穴に見事にはまったのである。アマゾンであればどこでも糸をたらしさえすれば、魚が釣れると思っていたが、それは全くの間違いであった。

そして、最後の難関が資金である。どこでも釣れないとなると、つれる所に行かねばならぬ。そこが恐ろしく遠い。飛行機で行こうが、船で行こうが経費が掛かる。遠い場所になればなるほど、経費がべらぼうになってしまう。これが問題である。私はアマゾン河の流域に住んでいるが、この問題の為地団太を踏んでいる。美女を目の前にして触らせてもらえないような物である。残酷である。

そして時間的余裕が必要であると言うこともかなり厳しい。現場までが遠い為、気楽に日帰り釣行出来ないのである。

と、ここまで見てくると、アマゾンでの釣りは不可能であるかのように見えるが、そうではない。それを克服したときに得られるものの大きさに比べれば、なんとか出来る物であると願いたい。

なぜそこまでして?と思われるかもしれないが釣りとは、なぜ?と言う事の魅力にとりつかれ、それをを追求してしまう遊びであるからである。

つづく

ヤマモト・チヒロ先生にお手紙を出そう!

yamakamo@interlins.com.br だよ!