[巣立ち:]

巣立ち

初めて息子が反論してきた。
これまで、声を荒げて反論することは一度もなかったのに。
ちょうど彼の年頃には、僕は父親が嫌いであった。顔も見たくなかった。
それは、説明のつかない嫌悪であった。
オス同士の本能と言えるものかもしれない。
そんな僕だだったから、息子に嫌われるのは仕方のないことだと思っている。
息子が離れていくのもすぐそこまできているのだろう。少しさびしい気はするが、彼が大人になったということだ。
父も同じような気持ちで僕を見守っていてくれたのであろうか。
今になってやっと父の気持ちが解る。

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