[ガロア(霧雨)の思い出:]

ガロア(霧雨)の思い出

寂しげな、はにかんだ笑いをする女だった。
※ボアッチが閉まる、午前4時、彼女はいつも電話をしてきた。「アロー、アロー、今から行ってもいい・・・」時には消え入るような声で、時には妙に狂気を含んだ甲高い声で。
 真の快感を教えてくれたのは彼女だった。お臍に汗がたまるぐらい激しいセックスの後、彼女は枕もとでその日のことをお経を唱えるように独りで喋りつづけた。
お互い愛はなかった・・・。欲望と孤独を舐めあっていただけなのだ。
いつのまにか電話が鳴らなくなった。あれはいつの頃だったのだろうか。どうしても思い出せない。

※ボアッチ(ナイトクラブ)

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