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名前 小林 恵寿
住所 サンパウロ州 サンパウロ市
生年月日 1933年

「日系コロニアを築いた家族たちの肖像」

〜新聞「移住家族」平成9年7月10日掲載記事より〜

 親から子、子から孫へ。写真一つ一つにブラジルの大地をしっかりと歩んで

きた家族の確かな足跡が残されていた。そして、そこには日本の風習や文化が

根強く生き続けていた。

 ブラジル社会と融合しながら、日系コロニアを築いてきた一世たち。ブラジ

ルに移住し、人種のるつぼ、モザイク文化と言われるブラジルの地で子孫を増

やし、自分たちの文化を伝えていった彼らの姿を七年の歳月をかけて追い続け

収集した人がいる。

 その「ブラジル日系人のあゆみ」を企画したのが日系ブラジル人の写真家、

小林恵寿さん。日系コロニアのルーツを家族の結びつきというテーマに求め、

親子孫三代に渡るそれぞれの道程を写真と記録で振り返る。サンパウロ市内で

二回、ブラジリアで一回、計三回行われた展示会はいずれも好評を博し、小林

さんは同じ企画を日本各地でも開催することができないかと、行動を開始して

いる。同時に、日本語とポルトガル語による作品の出版も計画中だ。

 来年はブラジルの日本移民の移住九十周年にあたるので、是非その年に日本

でも開催したいと語る小林さんは、「展示会や出版によって、日本で就労する

十八万人とも言われている日系ブラジル人たちが自己の歴史を振り返ると同時

に、その将来の指針となれば。また日本の人たちに、少しでも日系ブラジル人

の立場を理解してもらい、相互理解と交流がより一層深まれば、こんなに喜ば

しいことはない」と、意欲的だ。現在、展示会場の提供、また資金的な支援の

両面から協力を求めているが、「できれば日系人就労者の多い地域で、開催し

たい」と語っている。

 小林さんが取材した、ある一世はこんな話をした。「子供たちには日本式の

厳格な教育をしてきた。皆、同じ日系人と結婚した。でも孫たち三世は、この

国に言葉とか習慣の相違を感じなくなっているから、日系人に限らず好きな人

と一緒になる。日系人の混血が急激に増えていくだろう。」

 小林さんの活動は、そんな日系三世四世と、現在就労者として彼らを受け入

れている日本人との間にある「時間」と言う溝を両方の立場を知っている戦後

移住者として、埋めようとするものなのだ。

(この記事は小林さんの許可を得て転載させていだだきました)

〜展示会より〜

 江口家 / 橘(房吉)家 / 坂根家 / 橘(富士雄)家 / 溝渕家

 岩下家 / 中畑家 / 長谷川家

小林 恵寿(Keiju Kobayashi)

R. Espirito Santo 206 apt122, Aclimação, São Paulo, SP, CEP: 01526-020, BRASIL

TEL: 011-270-0775