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名前 小木曽 丈吾
住所 サンパウロ州 マウア市
生年月日 1983年
Eメール kokiso@brasil-ya.com

「バウ」

「ふう、今日も暑い。だけど散歩は毎日しないとね。」犬を連れた背の高い男

の人が海辺を走っている。
 
 僕はバウ。見ての通り犬だ。それで、この人は柏木さん。僕を飼っている人

なんだ。僕は柏木さんが大好きだ。だって、優しくてどんな時でも僕の散歩や

食事の時間など絶対に忘れはしない。しかし、今日は本当に暑い。うー、頭が

痛くなってきた。海の中に入ろう。ふう、よし!これで頭が冷えた。さあ柏木

さん帰ろうか。あ、あれ柏木さんがいなくなった。しかもさっきいた場所じゃ

ない。まさか・・はっ、きっとそうだ。あの時気を失ったんだ。それでこんな

所まで流されてしまったんだ。でもどうして気付かなかったんだろう。まあ深

く考えてもしょうがないや。帰り道でも探そうか。

 そんなバウに空き地から犬達が近づいてきた。「おい貴様、ここは俺達のテ

リトリーだ!さっさと出て行け!」ああ、ようやく僕の言葉を分かってくれる

人を見つけた。ここはどこ?「さっき言っただろうがここは俺達のテリトリー

だ!出て行け!それともこの俺に逆らおうってのか!聞いとんのかこのクズ」

ぼ、僕はただ・・「うるせえ!さっさと出てけっつうとるやろ!」バウは恐く

なって逃げていった。一人になったと思ったら、今度は八歳くらいの男の子が

近づいてきた。「うわぁ、犬だ!よしお前を今日から俺の奴隷にしてやろう。

ありがたく思え!わはは」お、おいシッポを引っ張るな!こ、こらどこへ連れ

て行こうと思ってるんだ。家を探さなきゃいけないんだ!お、おーい!「けっ

キャンキャンうるさい!」と言ってバウを無理矢理家の中に入れてしまった。

ふう、やっと放してくれた。わあっ!スゴイ数の犬!1,2・・12匹!なんで

こんなに?「お前新入りだな。ここは山田って人の家だが、ここに入って出ら

れると思うなよ。」なぜ?「お前は俺達の飼い主を知らない、まあ見てろよ。

来たぞ!」「ハッハッハッ遊ぼうぜ!」なんと手には木の箱を持っている。バウ

はその箱の中に入れられた。うー狭い!ギュルルと子供の腹が鳴った。「ああ

腹がへった、へへ、ちょっと待ってろよ」くそー逃げなければ!バウは箱から

飛び出して窓から外へ、そして門の隙間から逃げ出した。一目散に走ったとこ

ろで空腹に気が付いた。あ、この匂いは・・魚。魚は好物じゃないが、こうも

空腹では。バウは魚屋に近づいた。「何、犬?犬が魚か。ハッハッこりゃいい

や、だが、出て行け!」ああ、追い出されてしまった。ん?あの人何か変わっ

た格好してるな。あっスリだ!捕まえなくては!バウはスリに飛び掛かり押し倒

した。「おいこの犬何してるんだ」その瞬間店の人が大声で言った。「スリだ

そいつを捕まえろ!」バウはスリを捕まえた。魚屋の主人は喜んで「お前は今

日のヒーローだ。その魚はやるよ」うんオイシイ!空腹のときはどんな物でも

オイシイが自分の力でもらった物はなおさらオイシイ。

「まあ、まあ。あなたがスリを捕まえた犬ザマスね。我が家で暮らすザマス。

食べ物くらいはあげるザマスよ。さあ帰るザマス」な何なんだこの女は?厚化

粧で変わった言葉使いだ。ゲッ!高そうな車!「さあ、私のポルシェに乗るザ

マス。レッツゴー」そしてバウは車に乗ってその女の家まで行った。お大きい

柏木さんの家の10倍くらいだ!「さっ降りるザマスよ。今日からうちの番犬ザ

マス。頑張るザマスよ」おい、話が進んでいるが何がどうなったのかさっぱり

分からない。よし決めた。逃げよう。しかしどうやって逃げるか?大き過ぎる

家。また迷ってしまいそうだ。「ふっふっ、逃げようとしても逃げられないザ

マス。カメラでいつも見ているザマスよ」くーっ!逃げられない。隠れて逃げ

ようとすればカメラで見られる。そうか!だったら裏口から堂々と出ればいい

でも、裏口はあるんだろうか?「さあ、ご飯ザマスよ。ほら、アメリカ製のド

ッグフードザマス」こ、これはオイシイ。しかし柏木さんを見つけなければ。

よーし。「さあ、家の中に入るザマス」女はバウを奥の部屋へ連れていった。

「さあ、そこの番をするザマス」あっ、裏口だ!カメラもない、逃げられる!

「奥様お電話でございます」「そうザマスか今行くザマス」よし今だ。ドアは

閉められている、窓しかない。さあ一が八かだ!やった!逃げられた。さあ

柏木さんを見つけなくては!そうしてバウは三日間何も食べずに柏木さんを探

した。ああ、お腹が空いた。ん?この匂いは?海。しかも、僕が住んでいた町

じゃないか。さあ、家へ帰るぞ。バウは自分が走れる最高速度で家まで走った

ハアハア、柏木さん!あっ、家がない!柏木さんは?バウは、町の端から端まで

柏木さんを探した。しかし柏木さんは見つからない。空腹のまま海辺に座った

もう駄目だ、力が出ない、もう終わりだろうか。最後に柏木さんにもう一度だ

け・・あれ?柏木さんだ!海辺で寝ている。「知ってるか?そこで寝ている奴

は自分の金を犬を探すために全部使ったんだ。家まで売ったらしい」「嘘だろ

犬のために誰がそんなことをするか」「いや、本当だ。今じゃ海辺で毎日寝て

いるらしい気持ち悪くて誰も近づかない」まさか柏木さんがそんなことを!

柏木さん!何だか体が冷たい、全然動かない。そんな!僕のために、これも全

部僕のせいだ。柏木さん僕も今行きます。「ここもそんなに悪くないよ」柏木

「さあ、行こうか」