[倦(う)んだ時間:]

倦(う)んだ時間

 足の踏み場もないほど散らかった部屋、今日も何もしたくない。あらゆる気力がじんわりとなえていく。
どこかにいかなくては。妙なあせりとイライラ。
 潰れかけた映画館、ルアの人々がぼんやりしている公園、誰もいない博物館、・・・・、居場所を探してサンパウロの街を徘徊する。
結局、自分と同類の男達が集まる場末の薄暗いストリップ劇場にいきついた。
 ロウ人形のように無表情な男達が見つづける中、モレーナの肉体がスポットライトに照らされ黒く鈍く光る。暗闇の中で性欲だけが研ぎ澄まされ、男達が興奮すればするほど踊り子は水の中のミミズのように狂おし気に裸体をねじり輝いていく。
 帰り道、初秋がさっと顔をなでた。

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