[母からの授かり物:]
母からの授かり物
朝おきると、ふとんが血だらけになっていた。 酔っ払って、自転車からこけたらしい。 鏡を見ると、血がこびりついた顔面が膨れ上がっていた。 ふと、口を開けると、歯がなかった。信じられず、手を歯にあてたがやっぱりなかった。 ショックだった。 痛さよりも何よりも母からもらった大事なものをなくしたようでそれが一番つらかった。 こらから年をとるにつれ、嫌でも身体の部品をひとつずつ失いっていくだろう。 自分の「老い」を生まれて初めて感じた時でもあった。