[顔:]

 5年ぶりに冬の日本に帰ったとき、朝のプラットホームに立つ人々の顔がみんな同じに見え、あー嫌だな、と瞬間思った。
今考えると、自分と同じような顔がたくさん並んでいるのを見たくなかったせいかも知れないし、みな同じ黒っぽい服をきた表情のない顔が気持ち悪かったのかもしれない。
4年たった今も未だにその感覚がしつこく残っている。
 街のウインドーや鏡の中でブラジル人に混じって映し出された自分を見るたび妙な違和感とともにこの感覚を思い出し、そそくさとその場を立ち去ってしまう。

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